Many and Very

いつ死んでもいいように、なるべくがんばって生きたいだけ。

ビーサンのあと

猛暑だ

 

えっここは熊谷?ってくらい暑い。

 

週間天気予報は月曜日から金曜日まで35度近くある。

今日の気温は36度で、隣町では37度を超えたらしい。ここ、北海道で。

 

冬の気温はマイナス20度を超えることもあるこの場所で、夏の気温が35度とくれば、55度以上の差が起きているわけで、

 

夏から冬へいくらハイテク機械や衣服でカバーするっつたって限界があるじゃないのよ、なんて思いながら毎日ビーサンに短パンで過ごしている。

 

 

暑い。暑いと夏を思い出す。

夏なんだから当たり前なんだけど、夏といったら思い出で、夏といったら失恋で、夏といったらマライアキャリーだ。

 

うだるような暑さの中、朝10時くらいから子どもを噴水がでる公園や、幼稚園のプレクラスに連れていったり、とにかく少しでも早く寝てくれるように思いっきり遊ばせることに死力を尽くし、

昼ごはんを食べさせて一旦昼寝をしたあと、夕方4時前にのそのそと起きる。

 

息子たちはぼけっとした顔でおやつとお茶を食べて、ぼけっとテレビを見ているので、その間にささっと夕飯の下準備をする。

例えば野菜を切って茹でたり、トマトを切って冷やしたり、味噌汁のだしをとって具を煮たり、米をといだりする。

洗濯物をたたんでしまって、ぼけっとしてた子どもたちがしっかり元気になってから、寝汗でベタベタの子どもたちと近所の噴水がでる水場に出かけ、さらっと遊ばせる。

この夏の数日はそんな風に過ごしていた。

 

 

夏がはじまってから、明らかに日焼けした自分の足には、くっきりとビーチサンダルの跡がついている。

 

 

「お前、いいか、ビーサンの跡がくっきりついてるってのが健全な夏の証なんやぞ」

 

 

足首までぬるい水につかりながらその跡をじっと見てるとふと浮かぶ、過去に好きだった人の顔。

 

「それなのにここ数年の俺はなんも日焼けしとらん足元で悔しいことこの上ない」・・・・

 

夏の証かぁ、健全だよねぇ、ほんとくっきりだもん

 

彼がそれを言ってたのはどこだったっけ、あんなにしつこく思い出しては反芻してたのに、もう思い出せなくなってる。

 

 

結婚して4年、長男はもうすぐ3歳になる。

 

まだふとしたときに彼のことを思い出すことがあると言ったときの友人たちの呆れた顔を思い浮かべては、だって勝手に出てくんだからしょーがないじゃん、などと勝手につぶやいてみる。

 

もう好きとか、そういうんじゃ全然ないのにたまに出てくるあの人。

 

海と溶け合う太陽を見るとランボーを思い出すみたいに、

日に焼けた足についたビーサンの跡を見ると彼を思い出す。

 

あんなに毎日誰かのことを考えてたのは人生で色濃い経験だったから、考えてみれば当然といえば当然か。

 

あんなに毎日考えて考えて考えて、考えてもしょーがないことを考え続けて、

 

ってことはもちろんあの頃の私の延長線上にいるのが今のあたしなわけだから、

 

それってもはやその頃の私の一部は勝手に彼ってゆうか、もちろん悲しいくらいに一方通行なんだけれども、でもそういう部分もなきにしもあらずで、

それって男だからなんか既婚の今の私が大声で言うと眉をひそめられそうだけども、でも親の影響をうけたとか、友人の影響をうけたとか、もともと付き合ってた人の影響をうけての今なわけで

 

それって誰もが、もちろん当然そうなわけで、

 

つまりいいたいのは

つまり強調したいのは、だからもしかしたら私がふとしたときに彼のことを思い出したりすることは、たいして特別なことじゃないのかもしれない。

 

 

私を構成するもの、

私を作っているものの中には、

もちろん物質的なものの他に、影響を受けた人々がぎゅうぎゅうと詰まっていて、

 

私のなかにいるいろんな人、

いろんな人の中にいる私、

 

そうやって人は構成されてる。

 

最愛の夫のH氏にも、過去に長い間おつきあいしていた彼女がいて、

もしかしたら長い間付き合っていたわけだから、もちろんふとしたときに思い出すことがあるのかもしれないよねぇ、なんてぬるい風に吹かれながら考えていた夏の夕方。

 

次男は最近よちよちと歩き出し、周囲にあるものなんでも興味があるらしくて活発になってきてさらにかわいらしい

 

長男は毎日体力が爆発していて、飛んだり跳ねたり忙しそうだ。

 

 

私がこうしてめまいするほどの家族の匂いにどっぷり浸ってる日常の中で、香りの違う思い出を思い出すことに小さな罪悪感みたいなものが混ざっていたけど、

もしかしたらそんなこと感じなくてもいいのかもしれない。

 

いろんなことを思っての、私。それも大切な自分だよな、と思った。

 

 

 

 

夏が終わらないうちにいろんなことをやり切らないと、

 毎年毎年そう思うのに、やりきれないままあっという間に過ぎていく夏。

 

 今年はビーサンのあとがますます濃くなる、健全な夏みたいです。

 

 さて、おやすみなさい。